気温がそれほど高くなくても、湿度の高い梅雨時はべたべたして不快、なんとなく体調が優れない。
逆に冬場の乾燥で肌荒れに悩まされたり、風邪をひいたり。
人の身体ってこうしてみるとデリケートですね。
わたしたちが快適に過ごすためには、温度だけでなく『湿度』も大きく関係しています。
ここでは、室内の湿度に注目して
- 人が快適に感じる湿度の範囲
- 湿度が高すぎる・低すぎる場合の健康リスク
- 湿気が建物に与える影響
などを住環境の視点からお伝えします。
湿度はエアコンや加湿器で直接コントロールすることもできますが、
湿度の調整ができる建材『調湿建材』を取り入れると、
もっと穏やかに空気を快適で健康的な状態に近付けることが可能です。
この記事では、そんな『調湿建材』のご紹介もしていきたいと思います。
是非最後までお読みください!
快適に感じる湿度の範囲は?
温度とともに室内の快適性を左右する重要な要素である『湿度』。
快適性と温度・湿度の関係はこのグラフのような関係になっています。
出典:リフォームLab
夏場:温度25~28℃ 湿度55~65%
冬場:温度18~22℃ 湿度45~60%
夏・冬ともに50~70%程度が快適な湿度範囲です。
加えて高すぎる湿度は建物にも良くありません。
快適範囲に湿度を保つことは健康・建物両方のために重要なのです。
高温・高湿度のリスク
高湿度の健康リスク
湿度が高いと病気の原因になったり、身体に不快な症状があらわれたりします。
湿度のせいだと気づかないこともあるのですが、代表的には次の3つのような症状があらわれます。
1.自律神経の働きが乱れ、疲れや倦怠感が出る
2.カビ・ダニでアレルギー症状がでる
3.関節炎やリウマチ・アトピーなど持病の悪化
自律神経の乱れからくる体調不良や免疫の乱れといった間接的なリスクがあります。
梅雨時期や夏場の体調不良の原因の一つは、家の中の湿気かもしれません。
こちらの記事で詳しい症状をご紹介しています。
梅雨時期に身体がダルイ?部屋の湿気やカビ・ダニによる不快な症状とは?
高湿度のカビ・ダニのリスク
高温・高湿度はカビ・ダニの繁殖ゾーンです。
ダニのリスクが高いのは梅雨時のクローゼットや押し入れの中。また、畳やカーペット・ソファなどファブリック類もダニが好む環境です。
家の中でアレルギー症状を訴える人のほとんどはダニやその死骸、糞が原因です。
中でも総ダニ数の70~95%を占めるヒョウダニは、アトピー性皮膚炎の主な原因といわれています。
カビのリスクが高いのは浴室などの水回り。
気管支喘息や鼻炎を引き起こす他、過敏性肺炎を訴える人も増えてきています。
これは梅雨時に発生したカビが体内に入った結果、夏の終わりから秋にかけて発症するものです。
エアコンの内部のカビは気管支を破壊することも!他にもカビで病気にならないための方法をご紹介しています。
高温・高湿度の建物へのリスク
建物にとってもカビたり、腐ったりと高温、高湿度は大敵です。
建物の構造部分では、湿度が高いと木材が腐ってきたり、
シロアリに喰われたりといった被害が見られます。
シロアリは暖かくて湿った木が大好物なんですね!
建物内部では結露による水滴で部材が劣化したり、カビたり、
結露がひどいと外部と同じように腐ったりすることもあります。
低温・低湿度のリスク
低温・低湿度ゾーンは乾燥・ウィスルゾーンです。インフルエンザなどの健康被害が心配されます。
冬場に風邪にかかりりやすくなるのはどうしてでしょうか?
肌表面や粘膜は普段は湿度が保たれているため、ウィルスは簡単には体内に入ってきません。
しかし、冬場になって肌が乾燥しやすくなるように、湿度が下がると気道粘膜も肌荒れのような状態になって表面が損傷します。
粘膜は薄いので、亀裂からウィルスが侵入しやすくなり感染症がおこってしまいます。
湿度40%近くなってくるとウィスルが活性化して、インフルエンザや風邪にかかりやすくなることがわかっています。
また、乾燥した空気の中ではウィルスは遠くまで飛散します。
1回の咳やくしゃみによる感染範囲が広くなるので、余計に感染者が増えてしまいます。
乾燥対策の加湿器のリスクとは?
乾燥対策のためには加湿器を使うのが有効ですね。
しかし、外との温度差のある部屋で窓の断熱性が低い場合は、加湿器を使うと結露が起こってしまいます。
結露が起こると今度は、カビのリスクが飛躍的に高まることに。
窓枠の下の方。冬場はいつも結露水でジメジメしています。
ホコリにカビが生えているのを見たことがあるのではないでしょうか?
実際に、灯油のストーブや加湿器を使う冬場は梅雨時に次いで室内にカビが生えやすい時期です。
乾燥は防ぎたいけど、カビが生えるほど加湿をしてしまうと
今度はカビの健康リスクが心配です。
結露からくるカビのリスクの少ない健康的な室内にするためには、
家の断熱性や気密性が良いこと、湿度をコントロールする建材(無垢板や塗壁などの調湿建材)の使用が効果的です。
快適さのポイントは湿度のコントロール!
健康的で快適な室内環境をつくるポイントは湿度のコントロールです。
夏場はエアコンの除湿機能、冬場は加湿器を使うのが一番簡単な湿度コントロールの方法です。
エアコンや加湿器で湿度をコントロールするメリット・デメリット
簡単・確実に湿度コントロールができるのがエアコンや加湿器のメリットです。
しかし、デメリットもあります。
例えば…
- クローゼットの中や押し入れなど空気の流れが無い場所
- 浴室やトイレの水回り
- ガスを使うキッチンまわり
など、湿度がたまりやすい部分があります。
居間にあるエアコンでそこまで除湿するとなると結構大変ですよね。
暖かく湿ったところにカビが生えてしまうは仕方がないこと。
乾燥を防ぎながらカビも生えないようにするためには、加湿器はこまめに内部洗浄をし、収納内や窓際の結露に神経を配る必要があります。
湿気対策に有効な「調質建材」とは?
新築やリフォームでも導入できて、快適な室内環境を作るのに欠かせないのが『調湿建材』です。
調湿建材とは
室内の室内の湿度を調整することのできる建材
室内の湿度が多くなるとその湿気を吸って湿度を下げ、乾燥してくると湿気を放出して湿度を上げることを自然に行う機能を有する
出典:一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会
エアコンや加湿器を使うのにくらべて穏やかに湿度のコントロールをしてくれるのが「調湿建材」です。
夏場だと特に違いが判るのですが、調湿建材は過剰な湿気を吸い取ってくれるので室内の空気がさらっとします。
調湿建材の種類
調湿機能のある建材の使い方として、効果が高いのは壁や天井など面積が広い部分に採用することです。
左官材・・土壁、漆喰、珪藻土
塗装材・・ファインヌール(ドロマイトペイント塗装材)
ボード・・モイス(アイカ工業)
さわやか押入ボード(チヨダウーテ)
タイル・・エコカラットなど
珪藻土仕上げはナチュラルテイストのラフな質感が人気です。
左官材よりもコストを抑えた形で調湿効果を出す場合は塗装でも。
ファインヌールという調湿性・防カビ性のある塗料を塗った水回りのリフォームです。
調湿建材はどこに使うのがおすすめ?
健康のためには家全体に使うのをおすすめしたいのですが、
カビが心配なところ、空気を綺麗にしたい所にピンポイントで使うのもおすすめです。
- 寝ている間に大量の汗をかく寝室
- 水分が多くカビが生えがちな洗面所・トイレ
- 空気の循環が少ない結露やカビが心配な収納内部
こういった所に使うと違いがはっきりと感じられると思います。
リフォームにもおすすめの調湿建材
押入れの中の仕上げを調湿性のあるボードに変えてみたり、
寝室の一部に調質性のあるタイルを張ったりと
リフォームでも調湿効果をプラスできます。
調湿建材は部屋の空気を大きく変えることのできるアイテムです。
健康のためにも、建物のためにも是非とりいれてみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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