あなたの今住んでいる部屋を見渡してみてください。
ビニールクロスに合板のフローリング、木目調のプラスチック樹脂や合板で作られた家具など周りをほとんどすべて人工的なもので囲まれているのではないでしょうか。
新建材といわれる人工的な材料でほとんどの表面がおおわれているのが、現代の日本の住まいです。
新建材はコストが安く、供給が安定していて扱いやすい・・
そう、家を建てる側にとってはとても都合の良い材料です。
ですが、家に住む側に立って考えるといろいろと問題のある材料です。
その中でも大きな問題が、シックハウス症候群をはじめとした【家の中の病気】です!
この記事では、新建材に囲まれた現在の住宅が抱える重大な問題を解説していきます。
新建材とは?
新建材とは新しく開発された建材の総称で、プラスチック製のものやポリエステル、塩化ビニール類などが使われています。
建物の構造から下地、仕上に至るまであらゆる所でみられます。
一例を挙げると
- 壁の下地として住宅で使われている石膏ボード
- ビニールクロス
- 合板類、プリント合板など
- 集成材(薄くスライスした木を貼り合わせて作った板や柱・梁)
- 家の外壁に張るサイディング
などなど。
例えば和室の天井、木目の模様があってもプリント合板の場合がほとんどです。
では、なぜ【新建材】と呼ばれるのでしょうか?
これらの材料はそれまでの家づくりでは材料として使われてこなかった「新しい」材料なのです。
一昔前までは、住まいはその土地に生えている木や草、土から作られているのが当たり前でした。
例えば、民家園や古民家カフェに使われているような古い家屋では、新建材は使われていません。
100年を超えるような民家、それと現在建てられている一般的な住宅、大きく違っているのはその材料です。
新建材は表面に見えてくるビニールクロスや合板類だけでなく、柱は梁といった家の骨組みに使われる部材にも使われています。
新建材のメリット・デメリット
ここからは家づくりに欠かせない材料となった「新建材」のメリット・デメリットをお伝えします!
メリット・デメリットを知った上で家づくりやリフォームの材料は選んで欲しいと思います。
新建材のメリット
新建材は大量生産の工業製品なので、コストが安く取扱い易いのがメリットです。
コストが安い
建材の材料単価はピンキリですが、賃貸のアパートの建材がコストの安い建材と考えるイメージしやすいと思います。
単に材料費が安いだけではなく、大量に工場で生産しているので安いという面もあります。
おなじ合板でも値段によって違い、高いものだと傷がつきにくかったり、デザインが豊富だったりします!
幅広い価格帯から製品を選べるのもメリットです。
扱いやすい
新建材はメンテナンスフリーのモノが多いというのもメリットです。
例えばビニールクロスや合板フローリングであれば、自分でワックスをかけたりといった手間がいらず、ある程度の期間綺麗さを保ってくれます。
これは、ビニールコーティングしてある製品のメリットです。
ただし、経年変化で性能が落ちていくので、やっぱりその場合は壁紙を張り替えたり、フローリングを補修したりといったことは必要です。
無垢材の床や漆喰の場合は初期費用は高いですが、年月が経っても美しく経年変化が楽しめるメリットがあります。
ただし、水に弱くシミになるなどこちらもデメリットもあります。
新建材のデメリット・多量の化学物質を含んでいる!
新建材を使うことの中でも、家の中で過ごす人にとって大きなデメリット、
それは、ホルムアルデヒドをなどの多量の有害物質を含んでいるということです!
実際にシックハウス症候群のような深刻な健康被害が多く報告されていますが、
- 症状が人によって大きく異なる
- 原因を特定しにくい
などの理由で有害な建材が放置されてきました。
「F☆☆☆☆(フォースター)」だから大丈夫?
2003年にシックハウス対策規制法が施行され、建材は化学物質の放散量によってランク分けされました。
実際は放出量が最低ランクの「F☆☆☆☆(フォースター)」が主に使われています。
住宅の建築現場で一度だけ「F☆☆☆」を見たことがありますが、めったにないことで、というのはホルムアルデヒドの発生量の多い建材は法律で使う量が制限されているのです。
そのため、家を建てる前に使う建材の量を計算して申請しなければなりません。
その手間もかかるので、現在F☆☆☆☆(フォースター)以外の建材はほとんど流通していません。
では、「F☆☆☆☆(フォースター)」の建材なら安全で、健康な住宅が作れるでしょうか?
残念ながら「F☆☆☆☆(フォースター)」であってもホルムアルデヒドの発生が低レベルという意味で、有害物質の発生が0ではありません。
家全体に大量に使用すれば、人体に影響を及ぼす程度まで濃度が濃くなることは十分に考えられます。
不十分な法規制
シックハウスの原因となる化学物質は、厚生労働省がガイドラインを設定したものだけでも13種類もあります。ホルムアルデヒドとクロルピリホスの2種類だけを対策しても不十分なのです。
さらに、家具やシステムキッチンなど合板類の製造過程で使われる接着剤には、シックハウス症候群の原因となる有害物質が多量に含まれています。
システムキッチンの場合は建材として「F☆☆☆☆(フォースター)」の規制がありますが、家具類には規制がありません。
輸入物の家具、組立家具などは嫌な臭いがないかチェックしてから購入しましょう。
産業廃棄物場は建材でいっぱい?
新建材の持つもう一つの問題は捨てる時にあります。
使い終わった後は産業廃棄物になるしかないないのが新建材です。
例えば、無垢の木でできた柱や床材であれば時が経てば土に還ります。
しかし、ビニールやプラスチックは燃やしても有害物質が出るので埋め立てるしかありません。
メンテナンス性が良い=くさりにくいので、ゴミの遺産を次世代に引き継いてしまうことになります。
化学物質のもたらす健康被害を避けるには?
化学物質の健康被害は現在症状がないからといって安心はできません。
なぜなら化学物質の害はすぐ反応が起こる症状ばかりではなく、
- 体内の内分泌系が攪乱される
- 毒素が蓄積したりして次世代に影響が出る
といった影響が考えられるからです。
現代日本の抱える少子化の問題も決して無関係ではありません。
化学物質は微量でも身体に悪影響をおよぼします。
ビニールでコーティングされたような空間に24時間囲まれたとしたら
無防備な人間の身体は肺から、皮膚から、いつのまにか多量の化学物質を取り込んでしまいます。
健康な住まいをつくることの第一歩は家の中を化学物質で満たさないような、安全な建材を選ぶことがポイントになります。
小さなお子さんやペットは特に影響を受けやすいので注意が必要です。
リフォームの場合には、眠っている時間に身体が回復できるように、最初に寝室の環境改善から取り組むことをお勧めします!
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