年々夏の気温が上がっているここ数十年ですが、この暑さが日本のスタンダードになりつつあります。
湿気と暑さのダブルパンチは身体にもしんどいものですが、
実は、建物にも確実にダメージを与えています。
これは身体にくるダメージとも似ていて、夏の終わりや秋になってから、徐々に被害が見えるようになってきている例もあります。
今回は、梅雨から夏にかけて蓄積した建物のダメージと、その対処法について書きたいと思います。
夏の暑さや湿気が建物に与えるダメージとは?
日本の梅雨から夏にかけての湿気や、その後のエアコンを使うことでおこる結露、
それにより、過剰な水分が建物内に留まるようになります。
水分は木造の住宅、RCのマンションどちらにとっても大敵です。
私がリフォームのご相談をお受けする場合も、結露で家の内部の壁やエアコン周りにカビが生えたとの話がとても多いのです。
壁にカビが生えてしまった場合、ビニールクロスであれば、ハイターや次亜塩素酸で一時的に綺麗になる場合もあります。
しかし、表面的に綺麗になっても、壁の下地である石膏ボードや、壁内部の木材、断熱材には湿気が残っているケースがあります。
むしろ、カビが生えるほどの湿気があると、壁の中の方がより深刻な状況になっている場合が多くみられます。
梅雨時は天候により、夏には室内外の気温差による結露により、建物は湿気の害を受け続けています。
この湿気の害により日本の建物は夏に劣化している、と言っても過言ではありません。
リフォームでできる、湿度や暑さをコントロールする工夫
このように建物の大敵である湿度、暑さ。ここからは、湿度や暑さをコントロールする工夫をご紹介したいと思います。
換気して湿度を逃がす
換気扇やエアコンの除湿機能を上手に使って、湿度や汚れた空気を外のフレッシュな空気と入れ替えます。
窓を開けて空気を入れ替えるのも、もちろん有効です。
換気目的で窓を開ける場合のポイントは、異なる2方向の窓を開けて風を通すことです。
関連記事:涼しく風通しの良い家にする窓の工夫【健康な自然素材の家・基礎知識】
同じ部屋に2方向の窓がない場合でも、廊下や、その先の部屋や洗面所などの窓を利用して、
部屋を介して2つの窓を開けるようにします。
すると、1つの窓を開けるより大幅に換気量を増やすことができます。
以前改修工事の設計をさせていただいた、川越の古民家です。
古い建具をお施主さまが調達してくださいました。
通風や日差しを遮る効果もありつつ、見た目にも涼しくデザインの工夫があって素敵でした。
サーキュレーターや天井扇で空気を循環させる
寝室や個室だと換気扇がないケースや、
窓を開けてもすぐ隣家で、風通しがよくない・・
市街地だと、こんなケースも多いのではないでしょうか。
外の条件が悪い場合や、窓を開けたくない時間に空気を循環させるのなら
サーキュレーターが便利です。
エアコンと併用すると、室内隅々まで冷気がいきわたりますので
局所的な冷え過ぎ → 結露 → カビ・・という悪循環を断ち切るにも良い効果が!
サーキュレーターの選び方
サーキュレーターは大きく分けると
- 価格帯の安いACモーター使用のもの
- 価格帯高めのDCモーター使用のもの
に分かれています。
在宅時に使うものなら、なるべく騒音がすくないDCモータータイプがおすすめです。
安いからと買ったACモーターのサーキュレーターが、家に眠っていませんか?
ACモータータイプだと、他にも風力が無段階に調整できたりと使い勝手も良いものが多いのです。
価格帯高めといっても、10,000円以内で買えるものがほとんどです。
うちに以前あったACモータータイプのサーキュレーターは、雑貨屋で買ったデザイン重視のものでした。
値段も結構高かったのですがファンがうるさかったり、熱をもったり、と欠点が目立つ製品で、結局1年も使いませんでした・・
現在では後付けで取り付けた天井扇を冬でも、夏でも使っています。
天井扇はお掃除の邪魔にもならないので、おすすめです。
吸湿性のある建材を取り入れる
一般的な家にあるようなビニールクロスの壁は、湿気を通さない性質があります。
湿度の高い季節は室内がジメジメとするのは、壁や天井の仕上げ材も関係しています。
吸湿建材とは、室内の湿気をコントロールしてくれる効果がある建材のことです。
代表的なには珪藻土や漆喰など、左官工事で施工するものですが、
木材の吸湿性を活かした板壁、吸湿性のあるタイル(商品名だとエコカラット)などはリフォームでも取り扱いやすい建材です。
壁材についてはこちらで詳しく書いております。
「快適で安全な家」の壁仕上げ材の選び方!シックハウス対策や調湿効果がある壁とは?
これからも数十年単位で続くてあろう夏の猛暑ですが、
室内環境にも目を向けていくと、エアコンだけでは作れない快適なお部屋時間が過ごせます。
どうぞお試しください。