梅雨時期でもカビない、快適湿度の家【健康な自然素材の家・基礎知識】

家の中の困りごととして、一番に湿気、カビを挙げる人も多いのではないでしょうか。

特にこれからの梅雨の時期は、玄関やクローゼットがジメジメしていたり、フローリングがペタペタしたり・・。

気分がスッキリしないばかりか、体調にも良くなさそうですね。

 

ここでは健康な家の基礎知識として、湿度が健康や建物に及ぼす影響や、湿度のたまりにくい家の作り方をお伝えします。

 

湿度対策が重要な理由

北海道を除き、日本の大部分は「温暖湿潤気候」に属していて、もともと年間を通して湿度が高めの日が多いのが普通です。

気象庁のここ30年平均によると、特に6~7月にかけての湿度は80%にまであがるので、不快なだけでなく、身体、建物にも様々な影響が出てきます。

 

高すぎる湿度は人体に有害

梅雨時期から夏にかけて、湿度が高いとそれだけで不快ですが、さらに健康にも影響を及ぼします。

結露とカビが影響する呼吸器系疾患

健康被害の中でも、特に影響が大きいのが結露とカビです。

次のデータは、結露とカビが呼吸器系の疾患の発生倍率と密接に関係があることを示しています。

居間と寝室に結露・・・せき 8.96倍 気道過敏症 2.45倍  喘息症状 2.41倍

居間と寝室にカビ・・・せき 3.56倍 気道過敏症 3.05倍  喘息症状 3.76倍

出典:健康に暮らすための住まいと住まい方エビデンス

寒い時期も気温と室温の温度差で結露しますが、梅雨時から蒸し暑い夏にかけては、気温が高いため、結露とカビが直結しています。

 

アレルギー性や自律神経

高温・高湿度は、ダニにとっても恰好の繁殖ゾーンです。

家の中でアレルギー症状を訴える人のほとんどはダニやその死骸、糞が原因と言われています。中でも総ダニ数の70~95%を占めるヒョウダニは、アトピー性皮膚炎の主な原因といわれています。

自律神経の働きが乱れ、疲れや倦怠感が出る、関節炎やリウマチなど持病の悪化も、湿気が原因になっている場合があります。

 

高湿度による健康リスクは、結露、カビなど直接的な健康リスクと自律神経の乱れからくる体調不良や免疫の乱れといった間接的なリスクがあることがわかります。

 

湿度と住まい

人体にとってありがたくない過剰な湿度ですが、建物にとっても困ったことが起きてきます。代表的なには次のようなものが危険です。

害虫が増える

シロアリは暖かく湿った木が大好きです。

木材を腐らせる菌が繁殖する

腐朽菌と呼ばれていますが、古い家の浴室周りは湿気で腐り、さらにシロアリに喰われていることが多いです。

結露やカビで劣化する

人体と同じように建物も劣化し、強度や性能が落ちてしまいます。

 

快適な湿度の目安

人体にとって快適な室内環境の目安は、下のような範囲と言われています。

夏場:温度25~28℃ 湿度55~65%

冬場:温度18~22℃ 湿度45~60%

除湿器やエアコンを使って快適範囲に湿度を保つことは健康・建物両方のために重要ですね。

 

快適湿度の家の作り方 ~新築編~

ここからは、湿気に悩まされることが少なくなるようは家の作り方をご紹介します。

家の中が快適で、家が長持ちするようになる基本的なことなので、是非取り入れてみて下さい。

 

快適湿度の家・調湿建材を使う

快適な室内環境を作るのに欠かせないのが「調湿建材」です。

調湿建材とは

室内の室内の湿度を調整することのできる建材

室内の湿度が多くなるとその湿気を吸って湿度を下げ、乾燥してくると湿気を放出して湿度を上げることを自然に行う機能を有する

出典:一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会

 

調湿建材といっても特別なものではなく、昔から使われていた漆喰や無垢の板をつかったフローリングなど、表面がビニールコーティングされていないものを指します。

身体に感じる前に不快な湿度を吸い取ってくれるので、梅雨時や夏場には特に違いを感じるかと思います。

 

おすすめの調湿建材

私たちの事務所で新築やリフォームで取り扱っている建材は、次のようなものがあります。

壁・天井に使えるもの

左官材・・土壁、漆喰、珪藻土

塗装材・・ドロマイトペイント塗装材など調湿機能のあるもの

ボード・・モイス(アイカ工業)など

クロス・・調湿機能のあるクロス、和紙など

床・壁に使えるもの

無垢の板張り・・壁は全面でなく腰壁を板張りにするだけでも違ってきます。もちろん天井にも使えます。

タイル・・エコカラットなど機能性タイル

 

関連記事:「快適で安全な家」の壁仕上げ材の選び方!シックハウス対策や調湿効果がある壁とは?

快適湿度の家・間取りのポイント

湿気を溜めないためには、なるべく空気を動かすことが大事です。そこで、空気の通り道を確保しやすいように間取りからも工夫できます。

 

部屋を引戸で仕切る

人が居ない時に部屋を閉め切りにすると、空気もそこで止まってしまいます。建具はドアよりも引戸の方が開け放した時に邪魔にならないのでおすすめです。

 

収納は家の内側につくる

押入やクローゼットが家の外側(外壁側)にあると、室内と外部の温度差が大きく、且つ空気の流れが無いのでとても結露しやすい条件いなってしまいます。

特に、北側は温度差が大きくなるので要注意です。

もし北側や日が当たらない外壁に面して収納を作る場合には、ウォークイン型にして少しでも空気が動くようにすると改善できます。

 

窓の性能を上げよう

断熱性や気密性を上げても、窓の性能が普通だと完全に結露を無くすのが難しいです。

北側の窓や大きな開口部はアルミサッシ+ペアガラスだと不十分な場合も。

樹脂サッシや木製のサッシだとかなり性能が良くなります。

また、窓の性能を上げるのはリフォームでも有効で、部屋の快適性を改善する一番コスパの良い方法が窓を変えることです。

色々な方法がありますが、内窓を入れるのは工事期間も半日程度、コストもお手頃です。住宅の性能改善のために優先的に取り組んでいただきたい所です。

 

風通しに留意

都市部では難しい地域もありますが、湿気を溜めない一番コスパの良い方法は通風を利用することです。

部屋の2方向に1つずつ、また高さ違いで1つずつあると効率よく換気でき、同時に湿気も排出できます。

 

梅雨時期を気持ちよく過ごすために

クーラーや除湿器で湿気を取ったり、サーキュレーターを使うのも有効ですが、建物側の工夫は電気を使わずに済み、身体にも快適な方法です。

リフォームでも取り入れられる項目があると思いますので、是非ご検討ください。


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