涼しく風通しの良い家にする窓の工夫【健康な自然素材の家・基礎知識】

今回は風通しや夏の涼しさ、日差しを取り込む冬の工夫など家の中の快適性に直結する「窓」について掘り下げてお話します。

風が通りやすい窓の配置の工夫など、エアコンの風が苦手だったり、エアコンの使用を抑えて電気代を節約したいという方にもおすすめの記事となっています。どうぞご覧ください。

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住まいの窓の配置の工夫

住まいの窓には、どんな機能があるでしょうか。明るさを取り入れる、外の景色を見る、風を通す・・

少し考えただけでも、とても沢山の役割があるのがわかります。

家の中と外との境界線にある窓。使い方次第では、風や日光といった自然のエネルギーを上手に取り込むことができます。

自然の力を上手く利用するための窓の配置のポイントをご紹介します。

 

風を取り入れる窓の配置

家の中に心地よい風が通るように工夫しておくと、窓を開ける機会が増えます。

部屋の2面に窓を設ける

風を通すための基本の配置としては、南と東 や 北と西 というように、ちがう方角に二つの窓があると有利です。

空気の出入り口があることで部屋の空気が動くのと、風がどの方向から吹いても通風を取ることが出来ます。

 

建物の下部と上部に窓を設ける

地窓(床近くにある窓)と 天窓(屋根面にある窓)や高窓(天井付近にあるハイサイドライト)のように、高さの違う二つの窓があると、風が下から上に流れます。

和室によく見られる地窓も、地面付近の冷たい空気を取り入れる工夫です。

 

部屋から部屋へ風の抜け道をつくる

欄間(らんま)を設けて、部屋間の空気を流すのも良い方法です。

開け閉めできるタイプにしておくと、季節に応じて使い分けられます。

 

エアコンの無かった時代の工夫

地窓から風を入れたり、欄間で部屋と部屋の間の空気を循環させたり、といった工夫はエアコンが無く、通風で涼を取るしかなかった昔の建物では一般的でした。

また、「簾戸(すど)」という障子のかわりに簾(すだれ)をはめ込んだ建具がありますが、これは暑さを防ぎながら通風が取れる夏向きの建具です。衣替えのように蒸し暑い梅雨時から夏は簾戸、秋から冬にかけては障子、と季節によって入れ替えて使用されていました。一歩進んだ工夫ですね。

 

昔の家は通気性が良い分冬は寒かったと思いますが、現代の家では窓の性能や気密性が上がっているので、風を通す工夫を上手に取り入れればオールシーズン快適に過ごすことが可能です。

 

暑さ・寒さを考えた窓の配置

窓の機能として、風を通す他にも日差しを取り入れるという大切な役割があります。特に南向きの窓からの暖かい日差しは、天然のストーブとして是非取り入れたいところ。

しかし、むやみやたらに南側の吹抜けに大きな窓を付けたり、天窓を設けたりすると、夏場の冷房の電気代に驚くことになりかねません。

冬場には日差しを取り入れ、夏場には防ぐなど、効果的な窓の配置のポイントを方位ごとにご紹介します。

 

南面

冬に南側の大きな窓から入ってくる日差しは、暖房としても有効なものです。しかし、大きな窓は反面、熱も逃げにくくなるので、地域ごとの気象条件も合わせて考慮する必要があります。

南面の窓の暑さを防ぐためには、充分な深さのある軒の出や庇が有効です。夏の直射日光は室内に入れずにカットし、冬の低い日差しは室内に取り込むようにします。

お住まいの地域の太陽高度によって有効な庇の長さなども変わってきますが、シュミレーションして最適な設計をすることが可能です。

 

東・西面

東・西面は日照時間の関係で、南面ほど日射を取り込むことができません。

夏の強烈な西日を防ぐため、また冬場の熱の放出を抑えるためにも、東西の窓は小さめにしておいた方が有利です。

 

北面

北面も日射を取り込むことが期待できず、また寒さのために結露しやすくなっていますので、大きな窓は注意したい方角です。

北面の窓は安定した光が得られることことがあるので、例えば絵を描く人のアトリエなどには北窓が好まれます。小さめの窓が有利ですが、北側に庭があったり、景色が良い場合は、南側より緑など鮮やかに見えるというメリットも捨てがたい場合があります。

そんな時には、断熱効果の高い樹脂や木製のサッシ、トリプルガラスを使った高性能の窓、Low-Eガラス(ロウイーガラス 断熱性の良いガラス)を使った窓がおすすめです。

 

窓の外も大切に

窓から通風を取るといっても、窓の外が道路だったり、コンクリートだったりすると

通風の効果どころか暑い空気を家の中に入れてしまうことになりかねません。

庭があれば打ち水をするのが有効ですが、庭が取れない場合でも、

ほんの少しの木や、境界に植栽があると、地面の温度上昇をおだやかにすることができます。

 

家の裏手までは手が回らない場合や、スペースに余裕がないことの方が多いかもしれません。

そんな時でも、視線や風が抜けるようなフェンスにしてお隣の庭の借景を愉しむというのもアリかと思います。

どうぞ、愉しみながら窓からの自然の恵みを取り入れてみて下さい。

 

 


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