
こんにちは!
日本建築の中でも、茶室や数寄屋には
現代の暮らしの中では考えられないような
静けさや、繊細な美しさがありますね。
お茶を習っていなくても
そんな和風の建物が好きだったり、
美術館で展示を茶室の展示を見たり、
数寄屋造の料亭で食事をしたり、
そんなことがきっかけで
『数寄屋』『茶室』に興味を持ち、
自宅に茶室風の部屋をつくりたい
数寄屋のように洗練された【和】のスペースをつくりたい
もっと落ち着く、雰囲気のある和室にリフォームしたい・・
こう思う方もいらっしゃるかもしれません.。
実際私も,お茶を習っている関係もあり、
数寄屋住宅や茶室について、聞かれることが増えてきました。
そこで今回から数回に分けて、
茶室からひもとく和風のデザインとは?と題し
茶室のエッセンスを取り入れた
ワンランク上の美しい住宅をつくる方法を
お伝えしていこうと思います。
『数寄屋』や『茶室』風のスペースを自宅に、
限られた予算でつくるアイデアもご紹介しています。
茶室では寸法に厳密な決まり事があったりします。
ですが、
ここではあまり堅苦しくないように、
楽しみながら『数寄屋づくり』を学べる内容にしていくつもりです。
どうぞ最後までお付き合いください♪
目次
ここがポイント!茶室と普通の和室の違いとは?
和室や茶室、数寄屋というと、
和室って畳敷きで障子が入っている部屋のことかな・・
茶道で使う部屋が茶室・・
数寄屋というと高級な旅館や料亭の建物のこと・・?
だいたいこんなイメージでしょうか?
数寄屋住宅というと、
今では高級和風住宅の代名詞のように使われることもあります。
でも、もともと『数寄屋』とは
茶の湯のできる部屋、
つまり『茶室』のことを指しました。
そして茶室は、本来は豪華な部屋ではなく、
「市中の山居」(都会にあっても山の中にいるような住居)というように
静かで、どこかしら詫びた雰囲気があるものなのです。
では、実際に
ハウスメーカーで建てた家にある普通の「和室」と「茶室」が、
どう違うのか見てみたいと思います。
ハウスメーカーの建てた普通の和室
ごく一般的な例ですが、
リビングの隣にある和室というとこんなタイプが多いかと思います。
これは、柱が見えない(壁の中に隠れている)ので「大壁」和室です。
洋室に近い作り方で、畳が入っているのと天井、窓枠のデザイン、
それと障子が入っている所なんかが和室特有ですね。
柱が見える「真壁」の和室で
長押(なげし:襖の上の高さで柱を水平方向につなぐもの)が付いていると
格調の高い部屋になります。
本格的な茶室
茶室といってもいろいろですが、
新築でつくるとこんな感じになります。
床の間のある、なしなどの「間取り」以外では
・全体的に艶消しの仕上げになっている
・部屋の重心が低く、座った目線で落ち着くようにデザインされている
・壁はぬりかべが基本。壁や天井の表情が豊か
・各所に使われた木の素材感を感じる
こういった違いが感じらますね(^^)
美しい和室のキーワードは「陰影のある素材感」
写真を比べてみると、
畳や障子は同じように使っていても
部屋の印象はずいぶん違ってきます。
格調としては、ふつう和室の2枚目の部屋の方が上なのですが
茶室の方が趣があるように感じませんか?
これは、茶室が部屋の中に自然を感じるような
土や木といった自然素材を多用して、
複雑なテクスチャーを作り出しているのが大きな要因です。
この「陰影のある素材感」が
部屋をグッと本格的に、
風情(ふぜい)のある雰囲気にしてくれているのです。
陰影のある素材で風情のある部屋をつくる
風情のある空間を作る素材というと、
どんな材料でしょうか。
それは、表面のテクスチャーがツルツル・ピカピカの
プラスチックやビニールとは逆の素材です。
例えば
和紙や、凹凸のある漆喰の壁、
木の皮や土などが茶室の材料となっています。
艶のある素材でも、塗装をしていない木や漆など
底光りするようなものが似合います(^^)
そういった自然素材の積み重ねが
陰影のある、豊かな空間を作っています。
これは、昔はそんな素材しかなかったから
というのが理由ではありません。
利休の時代から、それも、秀吉という天下人を招くのに、
あえて田舎家風にしたり、わざと粗末な納屋のような材料を使ったりと
「詫び」た雰囲気をだすために工夫していた様子がうかがえます。
この「詫び」という言葉、
外国人に説明するのは難しいようです。
でも、日本人ならわかる・・
そんな感じでしょうか?
派手なものや豪華絢爛なものを避け、
簡素でつつましやかな中にも
「美」を兼ね備えた様子です。
現代の人々にとっては、
均一な素材でつくられるマンションやオフィスと比べると
「茶室」や茶室の庭である露地は完全に異空間です。
そのギャップから、よりいっそう、
こういった自然素材のつくる空間で
ほっとしたいのでは、なんて思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
では、次回もお楽しみに!